ローボールテクニック(特典除去法)とは?Webマーケティングに使える心理学
仕事をしていく中で、今日の交渉事は顧客に断ってほしくないと強く感じたことはありませんか?
そんなここ一番の時に役立つのがローボールテクニックです。
この記事ではローボールテクニックとは何かからWebマーケティングでの活用法まで詳しく解説します。
- 目次
- ■ローボールテクニックとは?
- ■ローボールテクニックが働く理由
- ■ローボールテクニックをWebマーケティングで活用する方法
- セール期間中に割引対象外商品も準備する
- クロスセルに用いる
- 社会的に有益な活動に用いる
- ■まとめ
■ローボールテクニックとは?
ローボールテクニックとは最初に相手が承諾しやすい条件を提示し承諾させた上で徐々に相手にとって不利な条件を付け加えたり、承諾済みの条件に理由をつけて取り除いたりする手法のことです。
キャッチボールをする時に最初は受け取りやすい低い球から始め、徐々に高い球へと変えていけば受け取りにくい球でも受けてしまうことから名付けられました。
承諾を受けた上で好条件を取り除くことから日本では「特典除去法」とも呼ばれます。
ローボールテクニックを用いると、普通に交渉した場合と比較して成功率が約2倍になると言われます。
■ローボールテクニックが働く理由
ではなぜローボールテクニックが働くのでしょうか。
ローボールテクニックは3つの心理的効果を利用しているためです。
①一貫性の原理
一貫性の原理とは自分の態度や発言、行動に一貫性を持たせたいと感じる心理効果を言います。
ローボールテクニックの場合後から条件が変わっているので本当は断ればよいのですが、自分が一度決めたことには責任を取りたいという気持ちから、後から提示される不利な条件も承諾するのです。
一貫性の原理についても詳しく知りたい方は、次の記事もごらんください。
一貫性の原理とは?Webマーケティングに使える心理学
洋服を買いに行くたびに今日こそイメチェンしようと思うのに、結局いつもと似たようなテイストの服を購入してきてしまって首をかしげた経験はありませんか? これは一貫性の原理が働いているためにイメチェンするのが難しいのです。 この記事では一貫性の原理の内容からWebマーケティングでの上手な活用法まで詳しく解説します。
②コンコルド効果
コンコルド効果とはこのまま投資を続けると損失が出るとわかっていても、これまで投資した分をもったいないと感じて投資を続けてしまう心理現象を言います。
ローボールテクニックの場合、不利な条件を提示された段階で白紙に戻すのはそれまでかけた時間やお金がもったいないと感じることを利用しています。
③認知的不協和理論
認知的不協和理論とは自分の考えと行動に矛盾が生じた時、考えを変更することで行動を正当化し不安を解消しようとする心理現象です。
ローボールテクニックの場合、好条件なので承諾したという考えと不利な条件を承諾しようとする行動に矛盾が生じたため、一度決めた条件だからと考えを変えて対応しようとすることを利用しています。
■ローボールテクニックをWebマーケティングで活用する方法
ローボールテクニックをWebマーケティングで活用する方法を3つご紹介します。
セール期間中に割引対象外商品も準備する
レディースファッションのECサイトでよく見かける手法ですが、セール期間中にはセール商品だけを販売するのではなく、必ず次の季節に向けた商品(夏のセールなら秋物、冬のセールなら春物)を一部セール除外品と銘打って含めておきます。
するとセール商品を買うつもりでECサイトにアクセスしてきたターゲット顧客が、意外と価格の高いセール除外品の方を選んで購入するのです。
これはセール除外品の価格とセール品の価格にあまり大きな差をつけないようにするとさらに効果的です。
クロスセルに用いる
ローボールテクニックを使ってクロスセルを促すことができます。
例えばファーストフード店でクーポン券を使用してハンバーガーを買うと、関連商品であるポテトやドリンクなどを一緒に買うことを勧められた経験を持つ人は多いのではないでしょうか。
ポテトやドリンクにはクーポン券の割引は適用されないので最初の条件からすると顧客にとって不利となりますが、勧められると購入する顧客も多いため、ローボールテクニックが効果を発揮していると言えます。
社会的に有益な活動に用いる
社会心理学者のロバート・B・チャルディーはアメリカのアイオワ州でガスの節約に関わる社会実験を行いました。
1つのグループにはガスの節約方法を教え、もう1つのグループには節約方法だけではなく省エネを実践した家庭として新聞に名前が公表されると教えたのです。
結果後者のグループでは1か月後に12.2%の省エネに成功したため、今度は新聞に名前が公表されなくなるという連絡を行ったのですが、後者のグループは省エネ生活を続け冬の終わりまでに15.5%の省エネに成功します。
ローボールテクニックが社会的に有益な活動に効果を発揮した事例です。
まとめ
ローボールテクニックは好条件から不利な条件を提示するためずるい交渉術のように解説されることも多いのですが、使い方によりターゲット顧客との信頼関係を崩すことなくアップセルやクロスセルといった結果を出すことが可能です。
ローボールテクニックを自分の売りたい商品やサービスへの購買意欲を高めるために、上手に活用してみてください。