クレショフ効果とは?Webマーケティングに使える心理学
YouTubeで音声のない画像を次々と連続で見せて行くという編集方法をよく見かけますが、何も内容について解説されなくても前後の画像を見てなんとなく動画としての意味を理解したという経験はありませんか?
これはクレショフ効果が働いたことにより起こる現象です。
この記事ではクレショフ効果とは何かからWebマーケティングでの効果的な活用方法まで詳しく解説します。
■クレショフ効果とは?
クレショフ効果とは認知バイアスの1つで、人間は複数の画像や映像が並べられるとそれらに関係がなくても無意識に前後関係を関連付けて特定の意味や解釈を導き出すという心理効果のことです。
1922年、ソビエト連邦の映画理論家レフ・クレショフによって提唱されました。
レフ・クレショフは全ロシア映画大学学内で次のような実験を行ったのです。
レフ・クレショフは被験者を3つのグループにわけ、それぞれ俳優イワン・モジューヒンに演じてもらった次のような映像を見てもらいました。
①のグループ→スープ皿+イワン・モジューヒンの無表情のカット
②のグループ→棺の中の遺体+イワン・モジューヒンの無表情のカット
③のグループ→ソファーに横たわる女性+イワン・モジューヒンの無表情のカット
レフ・クレショフが被験者にイワン・モジューヒンは何を感じていたのかをたずねると、①のグループは空腹や飢え、②のグループは悲しみや落胆、③のグループは欲望という回答だったのです。
イワン・モジューヒンの演技は変わらないのに、前に見た映像によりクレショフ効果が起こって被験者の印象は違うものとなりました。
認知バイアスについて他にも知りたい方は次の記事をごらんください。
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■クレショフ効果をWebマーケティングで活用する方法
クレショフ効果をWebマーケティングで活用する方法を3つご紹介します。
動画広告で活用する
クレショフ効果は動画広告で使用すると効果的です。
日本酒を例に考えてみると、その日本酒の画像を見せる直前にアピールしたいことの画像を入れるのです。
湧き水の画像+日本酒の画像=こだわりの水を用いて作った日本酒というイメージになるでしょう。
またお正月のお供えの画像+日本酒の画像=お祝い事やおつかいものなどに良い日本酒というイメージになります。
このように商品やサービスの特徴、どのような場面で使ってほしいのかなどを考えて直前に入れる画像を決めるとよりターゲット顧客への訴求効果が高まるでしょう。
オンラインの打ち合わせで活用する
クレショフ効果はオンラインの打ち合わせでも効果を発揮します。
オンライン会議で用いるLINEやZOOMなどのツールでは背景画像を変えたり、写り込む部屋の様子をカメラの角度調整で工夫したりすることができます。
これを利用し、相手に与えたい印象を意識して背景や部屋のインテリアを設定するのです。
例えばターゲット顧客に落ち着いた印象を持ってもらいたいなら、ある程度使いこまれた雑貨などを用意し飲み物も陶器の茶碗などで用意してみるのがよいのではないでしょうか。
またターゲットに明るく爽やかな印象を持ってもらいたいなら植物を置いたり、色のトーンが明るめの背景にしたりするのが効果的でしょう。
自分自身の印象を変えるのは難しいですが、このように「何と一緒に映るか」を変えるとクレショフ効果が働きターゲット顧客に与える印象を変えることができるのです。
ブランディングに活用する
クレショフ効果を用いてブランディングも行うことができます。
商品やサービスのイメージカラーやデザインに統一感があると、Webサイトで効果的なブランディングができるのです。
例えばイメージカラーやデザインに統一感のあるシリーズ物の商品が1つの画像にまとめて掲載されていると、全部良く見えてまとめ買いをしたくなった経験はありませんか?
これは商品を単品で紹介するより、デザインや色に統一感のあるシリーズで紹介するブランディングで商品の魅力を高め、購入意欲を高めることに成功しているのです。
商品紹介のページではクレショフ効果を意識し、効果的なブランディングにつなげてみてください。
■まとめ
クレショフ効果は認知バイアスの1つで、無関係な画像同士でも並べると前後関係を関連付けて考えてしまうという心理効果ですが、Webマーケティングでは動画や画像などを用いた最新の広告手法にも応用できるので導入しやすいことがわかりました。
ターゲット顧客に商品やサービスに対して持ってもらいたいイメージを大切にしながら宣伝を行うことができるので、ぜひクレショフ効果を幅広く活用してみてください。