文脈効果とは?Webマーケティングに使える心理学
映画館で飲食すると価格が高いとわかっているのに、気づいたらポップコーンとジュースを手に持っているという経験はありませんか?
これは映画館に入るという行動から文脈効果が働いたために起こるのです。
この記事では文脈効果とは何かからマーケティングでの活用法まで詳しく解説します。
■文脈効果とは?
文脈効果とはターゲット顧客の商品やサービスに対する価値の感じ方が、前後の状況・環境・情報によって変化する心理効果のことです。
1955年にアメリカの心理学者ジェローム・シーモア・ブルーナー(Jerome Seymour Bruner)が「Journal of General Psychology」で発表しました。
例えばテレビのオリンピック中継で「オリンピックのせいか」というテロップを見た時、聖火ランナーが走っていれば「聖火」だと感じ、金メダルが表示されていれば「成果」だと感じるでしょう。
このように前後の情報により同じ言葉でも捉え方が変化するのが文脈効果です。
■文脈効果をWebマーケティングで活用する方法
文脈効果をWebマーケティングで活用する方法を3つご紹介します。
地方名を明示したアピール
ご当地のお土産や食材を「〇〇物産展」と銘打ってひとまとめにしてイベント販売すると、とても売れ行きが良いのをよく見かけませんか?
これはその地方名に文脈効果が働いてそのお土産を「美味しい」「新鮮」「珍しい」とポジティブなイメージでターゲット顧客が捉えているため起こる現象です。
それに地方名自体が付加価値にもなっておりブランドのような働きをするので、価格が高くても売れるというメリットもあります。
もし自分の売りたい商品やサービスに地域性がある場合、このように文脈効果を用いるとターゲット顧客の購入意欲を大きく高め、コンバージョンにつなげやすくなるでしょう。
商品のレイアウトを工夫してアピール
同じ商品やサービスでも価格帯の高いものを販売しているWebサイトと価格帯の安いものを販売しているWebサイトでは、そのレイアウトに違いがあると感じることはないでしょうか。
例えば同じ用途の雑貨でも、安い商品のページはどこかごちゃごちゃしていて宣伝文句が多いと感じるのに対し、高級感のある商品のページほど質の良さと仕組みを簡単に説明して無駄がありません。
それどころか口コミの表示数を増やして、ターゲット顧客自身にその商品の良さを語らせる場合すらあります。
このようにWebサイトのレイアウトに文脈効果を用いることで高級感を演出すれば、より商品やサービスを魅力的に見せることができるでしょう。
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商品の環境をイメージさせるキャッチコピー
キャッチコピーでも文脈効果を上手に用いると、よりターゲット顧客の心に残るアピールを行うことができます。
次の2つは日本酒のキャッチコピーですが、どちらがより魅力的だと感じるでしょうか。
①京都伏見の地下深くから汲み上げられた伏流水と、京都にしかない希少な酒造好適米「祝」を100%使用しています。
②蔵内の井戸水と、地元で収穫した酒造好適米を100%使用しています。
①では水質の良い土地である「京都伏見」と食文化の発達した土地である「京都産」の酒米を用いて造られた日本酒の良さをターゲット顧客に上手にアピールできていますが、②ではその良さが伝わりにくいでしょう。
これはこの日本酒の持つ環境のポジティブなイメージをキャッチコピーの中に織り込むことによって、文脈効果を持たせることに成功しているのです。
もし自分の売りたい商品やサービスの生まれた環境にポジティブなイメージがあるのなら、文脈効果を意識したキャッチコピーに使用することでその価値をより高いものだとターゲット顧客に認識してもらうことができるでしょう。
■まとめ
文脈効果は商品やサービスに対するターゲット顧客のイメージを、その前後の状況に応じて変化させられる心理効果なので、Webマーケティングではターゲット顧客に持ってほしいイメージに近づけるための見せ方の工夫としてさまざまに使用できることがわかりました。
Webマーケティングでは質の高い商品やサービスをターゲット顧客に提供することが大切ですが、その価値をどのようにターゲット顧客に理解してもらうかということにも目を向ける必要があります。
文脈効果を活用すると商品やサービスそのものが持つ良さだけではなく、背景までわかりやすくターゲット顧客に伝えることができるため、とても効果的と言えるのではないでしょうか。
ぜひ積極的に取り入れて、自分の売りたい商品やサービスはどのような見せ方が相応しいのか検討を重ねてみてください。