【Google広告】推奨アカウント設定「Hagakure」から「search quattro」に至るまでを解説
Google広告にはリスティング広告の効果を最大限に発揮するための、推奨されたアカウント設定が存在します。
Google広告はこれまでいくつかのアカウント設定について推奨してきました。
今回の記事は最初に登場したアカウント設計の「Hagakure」が出る以前から、「Hagakure」、「GORIN」、「mugen」と順を追って解説していきます。
■Hagakure以前について
「Hagakure」という考え方が登場するまではGoogle広告のアカウント構造では、過剰にキーワードや広告グループが細分化され、適切な入札調整ができなくなるアカウントが多くなりました。
その理由が、過剰なまでアカウント構造を細分化し、キーワードごとに細かく設定することで最適化されると考えらていたからです。
その考えから「1広告グループ1キーワード」や「1キーワード1広告グループ」と言うアカウント構造が流行り出しました。
しかし、当時はスマート自動入札機能は無く、膨大なキーワードを手動入札で管理していました。
そして当然のことながら、手動で全てのキーワードを適切に管理できるはずがなく、入札調整ができていないキーワードが大量に増え、工数が増えたことで品質スコアも下がってしまうという懸念もあり、過剰な細分化によるアカウント構造は本来の目的が達成できなくなりつつありました。
そこでGoogle広告が最初に推奨したのが「Hagakure」というアカウント設定です。
■Hagakureの概要
Hagakureは「1広告グループ1キーワード」などの考え方とは真逆の考え方でした。
Googleは広告運用の自動化を進めており、Hagakureもスマート自動入札を利用する前提で推奨されていました。
Hagakureの特徴は以下の2点です。
- 機械学習が促進されるシンプルなアカウント構造
- 広告グループごとにIMS数が集約される
Hagakure以前の考え方とは違い、とてもシンプルになりました。
機械学習をさせるためにはIMS数を集めないといけないので、広告グループ単位で広告文やキーワードの情報を集めていくという目的です。
機械学習を活用してPDCAサイクルを従来より早く回し、広告を改善していくことが注目されるようになりました。
■GORINの概要
Hagakureの2年後にGoogle広告から新しく登場したのが「GORIN」です。
機械学習も進化し、広告配信のパフォーマンスも向上しました。
スマート自動入札を取り入れる上での基礎となるので、しっかり理解していきましょう。
本質的にはHagakureと一緒ですが、GORINの構成要素は5つあります。
アカウント構成
Hagakureの考え方に合わせ、シンプルなアカウント構成にする
リーチ
IMS数を多く集める必要があるのでリーチを広く取り、インプレッションシェアの損失を避ける
ターゲティング
オーディエンスリストを設定し、目的に沿った適切なターゲティングをする
広告フォーマット
広告が多くのユーザーの目に止まるように、様々な興味関心に対応できる広告を作成する
効果測定
ビジネスの目的ごとにKPIを定め効果測定し、アトリビューションモデルを使用して機械学習のデータを増やし精度も向上させる
■mugenの概要
GORINに続き、2019年に発表されたのが「mugen」です。
「Hagakure」と「GORIN」をベースとした最新のGoogle広告推奨アカウント設定です。
mugenのテーマはビジネスの成長とともに価値のあるIMSの拡大です。
mugenの構成要素は3つあります。
- 入札戦略
- リーチ
- 広告品質
一つずつ解説していきます。
mugenの構成要素①入札戦略
mugenでは、アトリビューションモデルを活用し、コンバージョンまでの中間経路についても評価した上で、KPIに沿ったスマート自動入札を使用することが推奨されています。
現在使用できるスマート自動入札は以下の通りです。
名称 | 特徴 |
目標コンバージョン単価 | 指定したコンバージョン単価でコンバージョンを最大限に獲得できるように設定される |
コンバージョン数の最大化 | 予算全体を使おうとしながらキャンペーンのコンバージョン数を最大化するように自動的に入札単価が設定される |
コンバージョン値の最大化 | 予算を過不足なく消化しつつ最大限のコンバージョン値を得られるよう、入札単価が自動設定される |
目標広告費用対効果 | 指定した目標広告費用対効果でコンバージョン値を最大化できるように、入札単価が自動的に調整される |
拡張クリック単価 | コンバージョン数を最大限獲得できるようクリック単価を調整する |
目標広告費用対効果のみ、過去30日間で15件以上のコンバージョンが必須です。
mugenの構成要素②リーチ
リーチにおいては特に動的検索広告(DSA)の導入が推奨されています。
動的検索広告とは検索連動型広告における機能の一つで、広告主のWebページに関連性の高いキーワードを検索しているユーザーに対し、Webページの内容にあった広告文を自動で生成し、出稿することができる機能です。
手動では拾えなかったキーワードも動的検索広告でカバーすることができます。
mugenの構成要素③広告品質
広告品質においてはレスポンシブ検索広告(RSA)を推奨しています。
レスポンシブ検索広告とは設定した複数パターンの広告見出しや説明文を自動で組み合わせ、機械学習を活用することによりユーザーごとに関連性の高い広告を表示できる機能のことです。
レスポンシブ検索広告を活用することによってクリック数やコンバージョン数の増加を見込めます。
■search quattroの概要
2020年に発表されたもので、「gorin」の概念も一部取り入れながら、「mugen」を部分的にアップデートしており、4つのパフォーマンスを改善します。
「search quattro」の構成要素は以下の4つです。
- 自動入札戦略の導入
- 広告文や表示オプションの導入
- 予算の調整
- キーワードや動的ターゲットの拡張
search quattroの構成要素①自動入札戦略の導入
「gorin」における、ビジネスの目的ごとにKPIを定め効果測定し、アトリビューションモデルを使用して機械学習のデータを増やし精度も向上させるという点を発展させたものです。
コンバージョン数や獲得単価だけで広告効果の良し悪しを判断するのではなく、売上を加味した上でCPCを調整することができます。
主にtROASへの移行、SA360の導入がこれに当たります。
search quattroの構成要素②広告や表示オプションの導入
日本は他の国と比べると広告のクリック率が低く、改善の余地があると見られており、RSAの導入や広告の有効性改善(広告品質)が推奨されています。
Googleが検索している人の検索意図から、レスポンシブ広告で訴求できる要素を抽出してくれる機能です。
search quattroの構成要素③予算の調整
キーワードを増やすことでインプレッション自体を増やしていこうという内容です。
②同様に、検索広告市場はもっと活用されても良いはずという視点から、キーワードを追加することでビジネスの機会損失を減らし、除外キーワードを適切に設定することで無駄な拡張を減らして、コンバージョンを最大化していくことを目的としています。
search quattroの構成要素④キーワードや動的ターゲットの拡張
①~③を実施した上で、インプレッションシェアを増やして、機会損失を減らしていこう(=予算を引き上げていく)という流れになります。
■まとめ
Google広告のアカウント設定について、「mugen」に至るまでの経緯、最新の「search quattro」までを解説していきました。
「Hagakure」「GORIN」について理解した上でアカウントのベースを整え、「mugen」や「search quattro」を活用して、今まででは届かなかったユーザーへ広告を幅広くアプローチできるよう、アカウント設定を見直してみましょう。
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