バーナム効果とは?Webマーケティングに使える心理学
血液型占いには科学的根拠はないと知っているのにもかかわらず、なぜか気になって毎日結果をチェックしたり、行動の参考にしたりする方はいらっしゃいませんか?
占いを信じてしまうのはバーナム効果による心理的効果が働いているためです。
この記事ではバーナム効果とは何か、マーケティングにどのように活用できるかを詳しく説明します。
■バーナム効果とは?
バーナム効果とは、誰にでも当てはまることなのに自分だけに当てはまることだと錯覚する心理的効果を言います。
興行師 P・T・バーナムの “we’ve got something for everyone”(誰にでも当てはまる要点というものがある)という言葉から1956年にアメリカ合衆国の心理学者、ポール・ミール(P.E.Meehl)が名付けたのが由来です。
1948年、アメリカの心理学者バートラム・フォア(Bertram Forer)はある実験を行いました。
学生たちに心理検査の結果と称して次のような文章を見せたのです。
①あなたは他人から好かれたい、賞賛してほしいと思っていますが、それにかかわらず自己を批判する傾向にあります。
②あなたは弱みを持っていますが、克服することができます。
③あなたは使われず生かしきれていない才能をかなり持っています。
④外見は規律正しく自制的ですが、内心ではくよくよしたり不安になったりする傾向があります。
⑤正しい判断や行動をしたのか真剣な疑問を持つときがあります。
⑥あなたはある程度の変化や多様性を好み、制約や限界に直面した時には不満を抱きます。
⑦あなたは独自の考えを持っていることを誇りに思い、十分な根拠のない他人の意見を聞き入れることはありません。
⑧あなたは他人に自分のことをさらけ出しすぎるのも賢明でないことに気付いています。
⑨あなたは外向的・社交的で愛想がよい時がありますが、その一方で内向的で用心深く遠慮がちな時もあります。
⑩あなたの願望にはやや非現実的な傾向のものもあります。
この10個の文章をよく読んでみると、前半と後半で真逆のことを書いたり、「傾向」「やや」「ある程度」などの言葉を用いたりしてより当てはまる対象者が増えるよう工夫されているのがおわかりでしょう。
この文章は実は、バートラム・フォアが血液型占いの文章を組み合わせて作ったものです。
バートラム・フォアは心理検査の結果がどれだけ当てはまっているかを0(全く当てはまらない)~5(当てはまっている)で学生たちに評価させたところ、平均点は4.26だったのでした。
バーナム効果で学生たちが心理検査の結果を信憑性が高いと勘違いしてしまった事例です。
■バーナム効果が働く理由とは?
ではなぜバーナム効果が働くのか、理由を2つご紹介します。
①発信者に権威性がある
情報の発信者に権威性があるとバーナム効果が働きやすくなります。
前項で説明したバートラム・フォアも先生の立場で学生たちに実験を行っているため、バーナム効果が働きやすかったと言えるでしょう。
②確証バイアスにかかっているため
確証バイアスとは自分の信念に基づいた情報を集め反証するための情報を集めようとしないことを言います。
占いなどで一度当たっていると信じ込むと当たっていない情報も含まれているのに無視しがちになり、結果的に誰にでも当てはまる占い結果さえ信じるようになってしまうのです。
■バーナム効果のWebマーケティングにおける活用法
バーナム効果をWebマーケティングで活用する方法を2つご紹介します。
①特定の個人に向けた商品やサービスと思わせるような表現を用いてメルマガを配信する
「〇〇様だけにお届けする特別なご案内」といったタイトルのメルマガを受信した経験はありませんか?
このメルマガは実は一度コンバージョンしたターゲット顧客全てに配信しているのですが、名前を冒頭に用いることによってターゲット顧客に「自分だけが特別」と思ってもらえるようにしているのです。
バーナム効果を用いて既存のターゲット顧客に再度アピールする時によく使われる手法です。
②対象者を増やす表現を用いてキャッチコピーを作る
前項で前半と後半で真逆のことを書いたり、「傾向」「やや」「ある程度」などの言葉を用いたりしてより当てはまる対象者が増えるよう文章を工夫していることについてお伝えしました。
これをWebサイトのキャッチコピーに応用すると、例えば次のような文章ができます。
「痩せるかどうか不安でなかなか実行できないけれど、ダイエットしたい!という前向きなあなただけにおすすめのサプリメントがあります」
バーナム効果と組み合わせてWebマーケティングで活用すると効果的なカリギュラ効果についても知りたい方は、次の記事もごらんください。
■バーナム効果をWebマーケティングで活用する上での注意点
バーナム効果を使う上で注意してほしいのは、煽り口調や誇大な表現を用いてはいけないということです。
このような表現はターゲット顧客に不快感を与え、Webマーケティング以前にサイト自体の印象をあまりよくないものにしてしまうため気をつけるようにしましょう。
■まとめ
バーナム効果は誰にでも当てはまることなのに自分にだけ当てはまることを言われていると錯覚する心理効果ですが、Webマーケティングでは身近に活用されていることがわかりました。
内容をある程度理解できればマーケティングでは使いやすい心理効果なので、Webサイトの文章の工夫など、取り入れやすいところから活用してみてはいかがでしょうか。