アンカリング効果とは?Webマーケティングに使える心理学

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自分の売りたい商品やサービスに価格設定をしてみたけれど、どうもお得感がないとターゲット顧客に感じさせてしまっているとお悩みの方はいらっしゃいませんか?

ターゲット顧客の感じ方は価格設定ではなく、価格の示し方を見直すことで変えられる可能性があるのです。

このような時に使える心理学を用いた手法、アンカリング効果について詳しく解説します。

アンカリング効果とは?

アンカリング効果とは「anchor」=錨(いかり)を語源とする認知バイアス(無関係な要素に影響されて物事を評価すること)の1つで、最初に持たされた先入観に基づいて物事を判断することです。

1974年に行動経済学者のダニエル・カールマン氏と心理学者のエイモス・トベルスキー氏により「サイエンス誌」に発表されました。

Webマーケティングにおいてはターゲット顧客が最初に提示された価格情報に影響されて価格の判断をするという心理効果となります。

この最初に提示された価格が基準点となるのはプライミング効果(先に与えられた情報で後からの行動が変化すること)によるものです。

アンカリング効果の活用例

アンカリング効果の具体的な活用例について2つご紹介します。

Webマーケティングにおける活用例

ECサイトなどの価格表示において、次のような文言を見かけたことはないでしょうか。

参考価格 ¥200,000→価格 ¥170,000

これを見ると、「参考価格」がその商品やサービスの定価や相場に合った価格かどうかはわからないのに価格が安くなっていると感じます。

これにはアンカリング効果が使われているのです。

実際に購入できる「価格」という金額の横にそれよりも高い金額で「参考価格」を表示したため「参考価格」がアンカーとなって「価格」を安いと認識させたという仕組みです。

商品やサービスの相場、定価を理解しているターゲット顧客には、このアンカリング効果は発揮されません。

営業における活用例

もし自分が営業職だとして、顧客とのアポイントの時間に30分遅れるとしたら、どのように連絡をするでしょうか。

①「15分遅れます」と連絡する
②「30分遅れます」と連絡する

①の方が正直に顧客に状況を伝えているので一見良い方法に思えるのですが、アンカリング効果を活用するなら②です。

解説すると、①の場合どれだけ急いで顧客のもとへ向かったとしても、顧客の印象は「15分遅れて来た」になります。

しかし②の場合顧客は「30分遅れてくる」というアンカリングをされているので15分遅れて到着すると逆に「遅刻はしたけれど、急いで来てくれた」という印象になるのです。

もし仕事として営業をしていて、どうしても約束の時間に遅れてしまう場合は一度試してみてはいかがでしょうか。

他にも営業やWebマーケティングで使用できる心理学について知りたい方は、次の記事もごらんください。

アンカリング効果を使用する上での注意点

ビジネスの場でさまざまに活用されているアンカリング効果ですが、使用する上で1つ注意しなければならないことがあります。

それは景品表示法における二重価格表示です。

相場より高い参考価格と実際の販売価格を並べて表示すること、実際に販売されたことのない参考価格と実際の価格を並べて表示することなどがあてはまります。

消費者庁のホームページではこの二重価格表示について「不当な二重表示についての景品表示法上の考え方」という事例を含めた丁寧なガイドラインを掲示し、啓蒙に努めています。

商品やサービスの価格表示を初めて担当する方や、アンカリング効果を使いながらも法律的に適切な価格表示を行いたい方はぜひ一度、消費者庁のホームページと価格表示ガイドラインに目を通してみてください。

消費者庁のホームページ「二重価格表示」
価格表示ガイドライン「不当な二重表示についての景品表示法上の考え方」

まとめ

アンカリング効果はWebマーケティングにおいてはターゲット顧客に最初に提示した価格で自分の売りたい商品やサービスの価格の印象を変えることができたり、営業においてはミスのフォローに使用できたりとさまざまなビジネスの場において役に立つことがわかりました。

心理学を上手く活用するとビジネスシーンでなかなか難題だと感じるような出来事でも、簡単に解決の糸口を見つけ出すことができます。

しかしだからといって、ターゲット顧客や自社にデメリットをもたらすような使い方をしてはいけません。

アンカリング効果を始め、さまざまな心理学の知識はターゲット顧客との信頼関係を深めたり、同じ職場の仲間との関係を良くしたりするために用いるのが望ましいでしょう。

アンカリング効果についても上手に活用して、よりビジネスがスムーズに展開できるよう工夫をしてみてください。

少しでもお役に立てましたらシェア頂けますと幸いです。
著者情報:三倉 光生
リスティングやSNSの広告運用12年/フリーランス4年目の認定ランサー。国立大学卒業後、新卒でベンチャー企業に就職し広告運用からマネジメントまで行い独立。「顧客の利益創出」をモットーとした広告設計・運用を行っています。ポリシーは【即レス・誠実さ・期限厳守】

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