税込み表記の義務化とは?覚えておきたい消費税における総額表示方式について
2021年4月1日から商品やサービスの価格を表示する際、税込み表記をする必要があるのは知っているけれど、具体的にどのような点に気を付ければよいのかわからないという人も多いのではないでしょうか。
この記事では消費税の税込み表記について詳しくまとめてみました。
■税込み表記とは?
税込み表記とは正式には「消費税における総額表示方式」のことを指し、2004年から実施されていました。
それまで主流だった税抜価格表示ではレジやネット画面での最終請求の時点でなければいくら支払えば良いのかがわかりにくく、同一の商品やサービスでも税抜価格表示と税込価格表示のお店が混在するため価格比較もしにくい状況が続いていたのです。
このような状況を改善し、消費者が価格を見れば消費税を含む支払総額がすぐに理解できるようにするために義務化されたのが税込み表記です。
消費税の総額表示方式についての詳細は財務省のホームページに記載があるので、一度目を通しておくことをおすすめします。
■税込み表記の方法
税込み表記は事業者が消費者を対象に行う必要があり、表示媒体(店頭の値札・チラシ・カタログ・広告など)を問わず行わなければなりません。
罰則は定められてはいませんが、法律なので順守しなければコンプライアンス上問題があると言えるでしょう。
それでは具体的に税込み表記に該当する価格表示、該当しない価格表示とはどのようなものなのでしょうか。
それぞれご紹介します。
税込み表記に該当する価格表示
税込価格10,780円(消費税率10%)の商品やサービスの場合、総額表示に該当する価格表示の例は次の通りです。
・10,780円
・10,780円(税込)
・10,780円(うち税980円)
・10,780円(税抜価格9,800円)
・10,780円(税抜価格9,800円、税980円)
・9,800円(税込10,780円)
どの表記方法においても税込価格がはっきりわかるように表記されているのがわかるでしょう。
税込価格が明確に表示されていれば、消費税額や税抜価格を併せて表示しても構いません。
税込み表記に該当しない価格表示
税込価格10,780円(消費税率10%)の商品やサービスの場合、総額表示に該当しない価格表示の例は次の通りです。
・9,800円(税抜)
・9,800円(本体価格)
・9,800円+税
税込み表記に該当する価格表示と比較してみると、どの表記方法も一度見ただけでは消費税を含めた総額がいくらなのかはわかりません。
事業者は、消費税額を含む価格を一目でわかるようにするというのが総額表示の目的だということを忘れてはいけません。
■税込み表記をWebマーケティングで行う際の留意点
税込み表記をWebマーケティングで行う場合は、どのような点に留意すれば良いのでしょうか。
GoogleとYahoo!を例として見てみましょう。
まずGoogleですが、Google Merchant Centerのヘルプページに、日本における商品のランディング ページでの付加価値税(VAT)の表示に関する要件が更新されたということ、2021年4月1日よりLPに表示する商品の価格には付加価値税(VAT)を含める必要があることが変更として記載されています。
この付加価値税(VAT)というのが消費税を指すため、Googleにおいては2021年4月1日よりLPで総額表示を行うというルールに変更されたということです。
次にYahoo!ですが、Yahoo!広告のヘルプページに、広告掲載基準として価格表示については消費税法で定められた表示を遵守することが求められています。
消費税法により、事業者が消費者に対して行う価格表示は総額表示が義務付けられているため、Yahoo!においても掲載する広告については法令に基づき基準を定めているということです。
Google、Yahoo!どちらでも事業者には法令順守の上で運用を行うよう求めてきているのがわかります。
Webマーケティングでも今後は商品やサービスの価格について、他の表示媒体と同じ形で総額表示を行う必要があるということです。
参考:Google Merchant Centerヘルプ「日本での付加価値税(VAT)の表示に関する変更」
■まとめ
2021年4月1日より、商品やサービスの価格表示を行う際は表示媒体を問わず、消費税法に基づいて税込み表記=総額表示方式を採用する必要があるとわかりました。
元々消費税額を含む価格を一目でわかるようにするというのが総額表示の目的なので、事業者は店頭、Webサイト、広告などの表示媒体を問わずこれを行わなければなりません。
罰則は特に設けられてはいないものの、事業者は消費者の信頼を損ねないようにするためにも税込み表記を行い、消費者にとってわかりやすい価格表示を行う姿勢が大切だと言えるでしょう。