返報性の法則とは?Webマーケティングに使える心理学
Webマーケティングや営業を行っている方であればどなたでも、一度は小さな労力で大きな見返りのある仕事をしてみたいと考えるのではないでしょうか。
そのような時に役に立つ心理学の手法、返報性の法則について詳しく解説します。
■返報性の法則とは?
返報性の法則とは、人から何かをしてもらった時に「何かお返しをしたい」という気持ちになる心理のことです。
返報性の法則は4種類あります。
①好意の返報性
人から受けた好意に対して好意でお返ししたくなる心理
②敵意の返報性
人から受けた敵意に対して敵意でお返ししたくなる心理
③譲歩の返報性
人から譲歩してもらうと自分も譲歩したくなる心理
④自己開示の返報性
人が自己開示してくれると自分も同じくらい自己開示したくなる心理
このことから返報性の法則とは「自分には借りがある」と感じることによって起こるのがわかるでしょう。
■ビジネスで返報性の法則を活用した事例
次は具体的にWebマーケティングや営業の場で返報性の法則を活用した3つの事例について見てみましょう。
営業での活用事例
自分が営業職だったとして、顧客に定価での購入を促す場合どちらの方法を選びますか?
①費用の高い見積を最初に提案して、次に定価の見積で提案を行う
②費用の高い見積、定価の見積、安い見積の3種類を同時に見せて提案する
②が顧客への選択肢の幅が広く一見よいように感じるのですが、この提案方法では安い見積でしか購入してもらえず「定価で購入してほしい」という本来の目的を果たせない可能性があります。
①で提案すると最初は顧客が断りそうな提案をして罪悪感を抱かせ、次に顧客が受け入れられそうな提案をすることで譲歩を引き出すことができるのです。
この営業方法は返報性の法則の中の1つ、譲歩の返報性の活用事例で「ドア・イン・ザ・フェイス」と呼ばれます。
Webマーケティングでの活用事例
化粧品やサプリメントなどのWeb広告で、次のような文言を目にしたことはないでしょうか。
「1週間分お試しセット、今なら無料!」
無料なのであまり深く考えずに注文し、1週間使い続けたタイミングでお礼と購入を促すメールが届いたのでつい高額な化粧品やサプリメントを買ってしまったという経験を持つ方もいらっしゃるでしょう。
これは無料で1週間使わせてもらったという罪悪感を顧客に持たせることによって「何か買わないとまずい」という気持ちを引き出したと言えます。
このWebマーケティングの方法は返報性の法則の中の1つ、好意の返報性の活用事例です。
SNSマーケティングでの活用事例
企業のSNSを見ていて、宣伝や告知以外の内容が多いことが不思議だと感じたことはありませんか?
例えばベビー用品の会社のSNSで「子育てあるある」を連載のように発信していたり、飲食店のSNSなのに「おうちでも再現できる飲食店のレシピ」を発信していたりする場合のことです。
「子育てあるある」は読んだ人に「自分の感情に寄り添ってもらった」と感じさせ、「飲食店のレシピ」は「とても有益な情報を無料で提供してもらった」と感じさせます。
これで読んだ人が「何かお返しをしなければ」と感じればいいね!を押すことや拡散につながり、企業は商品やサービスの宣伝をしなくても幅広いターゲット顧客にアプローチすることができるでしょう。
このSNSマーケティングの方法は返報性の法則の中の1つ、好意の返報性の活用事例です。
他にも営業やマーケティングに活用できる心理学について知りたい場合は、次の記事もごらんください。
■返報性の法則が働かない場合とは?
返報性の法則の中でも好意の返報性を上手に活用したければ、見返りを求めないようにしましょう。
この理由は、自分が相手に何かを働きかけたとしてもそれが相手に「好意」だと感じてもらえなければ返報性の法則は働かないからです。
例えば洋服の試着をさせてもらったとして、店員の方に「試着をさせたのだから商品を購入して当然」という態度を取られたとしたらどう感じるでしょうか。
もし本当はその洋服を買おうと思っていたとしても止めたくなるでしょう。
これは店員の方が行った試着させるという働きかけに対して、顧客がそれを「好意」とは受け取らなかったために起こった結果です。
このような結果を生まないためにも、返報性の法則を活用する時は「ギブ&テイク」ではなく「ギブ&ギブ」の精神を大切にしましょう。
■まとめ
返報性の法則は4種類あり、中でもビジネスの場においてよく活用されるのは「好意の返報性」であることがわかりました。
見返りを求めずターゲット顧客のニーズを最大限満たすための働きかけを続けていけば、必ずその気持ちは伝わるものです。
ターゲット顧客との良い関係を長く続けていくためにも、焦ることなく取り組んでいきましょう。