Webデザインにおける著作権とは?定義から仕事で意識したいポイントまで詳しく解説
Webデザインを行う人が持っておきたい法律知識の1つとして重要なのが著作権についてです。
この記事ではWebデザインをする上で知っておきたい著作権の定義から仕事をする上で意識したいポイントまで詳しく解説します。
■Webデザインにおける著作権とは?
Webデザインは自らの思想や感情を創作的に表現した著作物に当たり、無方式主義が適用されて自動的に著作権が制作会社やWebデザイナーに与えられるため、日本国内では50年、海外では70年の保護期間が設定されます。
著作権には財産的な利益を保護する権利である「著作財産権」と著作者の人格を保護する権利である「著作者人格権」の2つがあり、「著作財産権」は譲渡・相続できますが、「著作者人格権」は譲渡できません。
著作財産権は次のように分類することができます。
著作財産権の種類 | 内容 |
複製権 | 著作物を印刷、写真、複写、録音、録画などの方法によって複製する権利 |
上演権・演奏権 | 著作物を公に見せることや聴かせることを目的に上演・演奏する権利 |
上映権 | 著作物を公に見せることを目的に上映する権利 |
公衆送信権等 | 著作物の公衆送信を行う権利 |
口述権 | 言語を使用した著作物を公に口述する権利 |
展示権 | 美術著作物と未発表の写真著作物の原作を公に展示する権利 |
頒布権 | 映画の著作物の複製を販売・貸与する権利 |
譲渡権 | 映画以外の著作物の原作または複製を公衆に譲渡する権利 |
貸与権 | 映画以外の著作物の複製を公衆に貸与する権利 |
翻訳権等 | 著作物を翻訳・編曲・変形・脚色して映画化や翻案する権利 |
また著作者人格権は次のように分類することができます。
著作者人格権 の種類 | 内容 |
公表権 | 未公表の著作物をいつ、どのような方法で公開するのかを決定し公開する権利 |
氏名表示権 | 著作物を公開する際著作者名の表示・非表示を決定し表示するなら 実名か変名かを決めることができる権利 |
同一性保持権 | 著作者の意に反した著作物の変更・改変を禁止する権利 |
どちらも著作者の利益を守るために設定されている権利だということを覚えておきましょう。
■Webデザインに関わる著作権のポイント
Webデザインに関わる著作権について、1つ覚えておきたいポイントをご紹介します。
それは、著作権は自らの思想や感情を創作的に表現した著作物に対して与えられますが、レイアウトと配色についてはその著作物を表現するための手法として位置づけられているので、著作権は適用されないということです。
つまりレイアウトと配色の処理をしただけと見なされた場合、法律ではそのWebデザインを著作物とは認めないので、著作権も発生しないという仕組みです。
■著作権を侵害しないために気をつけたいこと
Webデザインの制作において著作権を侵害しないために気を付けたいことを3つご紹介します。
①制作会社に依頼したWebデザインの著作権は制作会社にあるのを理解する
クライアントが料金を支払って制作会社がWebデザインを制作しても、著作権は制作会社に発生します。
そのためもしクライアント側が著作権を持ちたい場合は著作権の譲渡や利用許諾について取り決め、その内容を契約書として取り交わす必要があるのを覚えておきましょう。
②キャッチコピーの著作権は個別検討が必要だと理解する
キャッチコピーは短い表現のため著作物と認められるためのハードルが高くなりますが、著作物として絶対に認められないわけではないので個別検討が必要です。
③画像は著作権に問題のない素材を使用する
著作権のある画像を無断で使用するのは著作権の侵害となってしまうため、フリー素材や自分で撮影した画像を使用しましょう。
■著作権を侵害された時の対処方法
Webデザインにおいて著作権を侵害されている可能性が高いと感じた場合は、自己判断をせずまずは法律の専門家か、著作権関係団体に問い合わせをしてみましょう。
著作権を所管する官庁は文化庁著作権課ですが、著作権全般についての問い合わせを受け付けしている公益社団法人著作権情報センターに連絡するのもよいでしょう。
また著作権侵害を受けた媒体に応じて個別に相談先があるので、公益社団法人著作権情報センターのホームページに記載のある「関係団体・機関リスト」の中から適切な相談先に問い合わせをしてみましょう。
参考:公益社団法人著作権情報センター「関係団体・機関リスト」
■まとめ
Webデザインにおける著作権とは著作物を制作した著作者の利益や人格を保護するためにあるので、権利を侵害するような行為を行わないように気を付け、また侵害された可能性がある場合専門機関に相談するのが望ましいとわかりました。
Webデザインをする際は法律を遵守した上で、気持ちよく制作を行うようにしましょう。