エモーショナルデザインとは?ユーザーの感情を知る方法からデザインのポイントまで詳しく解説
SNSの普及で消費者の購買行動への入り口が共感へと変化する中、UXデザインに携わる人の中で注目を集めているのがユーザーの感情に配慮したエモーショナルデザインです。
この記事ではエモーショナルデザインとは何かからデザインの方法まで詳しく解説します。
- 目次
- ■エモーショナルデザインとは?
- ■エモーショナルデザインを知るために役立つ「感情の輪」
- ■エモーショナルデザインをする際に配慮すべき3つの感情レベルとは?
- ■エモーショナルデザインをする際に気を付けたいポイント
- ■エモーショナルデザインの手法を用いたデザインの事例
- ■まとめ
■エモーショナルデザインとは?
エモーショナルデザインとはユーザーの感情をネガティブからポジティブへ、またポジティブからネガティブへと大きく動かし、ユーザーの期待以上の体験を提供できるデザイン手法です。
UXデザインにおいてはユーザーがサービスやシステムを通して得られる経験をデザインするため、商品やサービスの機能でユーザーのニーズに応えるだけではなく、エンゲージメントを高めたり、その後の購買行動へとつなげたりしやすくなるエモーショナルデザインは効果的な手法と言えるでしょう。
UIデザインとUXデザインの違いとは?
UIデザインとUXデザインの違いからWebサイトにおける改善のポイントまで詳しく
エモーショナルデザインを構成する要素は次の6つです。
- 視覚要素(アイコン・バナー・イラスト・画像など)
- インタラクション(人間がアクションをした際に起こる反応で音やアニメーションで表現される)
- デザイン全体のトーン&マナーやテーマ
- マイクロコピー(Webサイトや問い合わせフォームなどに使用されるユーザーの行動を促す文言で「もっと詳しく」「購読する」など多数の種類がある)
- ターゲット顧客に合ったUIデザイン
- 細部のディティールデザイン
■エモーショナルデザインを知るために役立つ「感情の輪」
エモーショナルデザインでユーザーの感情に配慮したデザインを行うためには感情について理解を深める必要がありますが、その際に役立つのがアメリカの心理学者Robert Plutchik氏が提唱した「感情の輪」です。
「感情の輪」ではRobert Plutchik氏が基本感情として位置付けた「怒り」「嫌悪」「恐れ」「悲しみ」「期待」「喜び」「驚き」「信頼」という8つの感情が輪となって配置されていますが、「喜び」と「悲しみ」が対になったり、「喜び」と「信頼」を合わせて「愛」となったりと感情の分類や派生がわかりやすく表現されています。
エモーショナルデザインをする際はそのデザインを見たユーザーにどのような感情を持ってほしいのかを考えるのに役立つでしょう。
■エモーショナルデザインをする際に配慮すべき3つの感情レベルとは?
アメリカの認知科学者Donald Arthur Norman氏は著書「エモーショナル・デザイン―微笑を誘うモノたちのために」の中で感情を本能レベル、行動レベル、内省レベルの3つに分けて区別しています。
エモーショナルデザインにおいては、この3つの感情レベルに配慮することが重要なため、それぞれの感情レベルに配慮したデザインとはどのようなものかを解説します。
①本能レベルに配慮したデザイン
本能レベルに配慮したデザインとはWebデザインで表現する商品やサービスの質で五感に訴え、その結果ユーザーがどのような気持ちになるかに配慮したデザインのことです。
人間の無意識のレベルに働きかけるため、ブランディングをするためのデザインやパッケージデザインにおいては特に重要とされます。
②行動レベルに配慮したデザイン
行動レベルに配慮したデザインとはユーザビリティと言い換えることができます。
人間は使いやすいWebデザインに出会うと喜ばしくポジティブな気持ちになり、使いにくいデザインに出会うとストレスや怒りなどのネガティブな気持ちになることからそれらに配慮したデザインということです。
③内省レベルに配慮したデザイン
内省レベルに配慮したデザインとは、エモーショナルデザインの中で最も高いレベルのデザインとされています。
人は本能レベルと行動レベルで感じたことを基にそのWebデザインが自分にとって合理的か、他の人から見てどのように見えるかを判断するため、それに配慮したデザインのことです。
■エモーショナルデザインをする際に気を付けたいポイント
エモーショナルデザインをする際に気を付けたいポイントを3つご紹介します。
①制作者が主観的にならないこと
エモーショナルデザインはユーザーの感情に配慮するデザインのため、制作者は主観的にならず、データを活用して客観的に判断しながらデザインを行う必要があります。
②予想通りの動きをするデザインだけにしない
エモーショナルデザインをする際、90%はユーザーの予想できる動きに配慮するのが望ましいですが、10%ほど別の動きをすることで意外性を演出することができるでしょう。
③アップデートを怠らない
エモーショナルデザインで望ましい結果がもたらされたとしても、定期的にアップデートを行い新たなユーザー獲得を目指すことをおすすめします。
■エモーショナルデザインの手法を用いたデザインの事例
エモーショナルデザインの事例をご紹介します。
GUCCIではオンラインショップで買い物をしている顧客に対し、「パーソナルアドバイザーとチャットをしませんか?」というメッセージを送付しているのです。
自分だけのアドバイザーという所が高級ブランドらしく、顧客の内省レベルにまで配慮したデザインと言えるのではないでしょうか。
■まとめ
エモーショナルデザインとはユーザーの感情を大きく動かし、ユーザーの期待以上の体験を提供できるデザイン手法ですが、「感情の輪」で人の感情を理解し、本能・行動・内省の3つの感情レベルに配慮しながらデザインすることが大切だとわかりました。
この記事も参考にしながら、ぜひさまざまなアイデアでエモーショナルデザインを実現してみてください。